【青春小説】春色の思い出とともに《第四話 E》

そんな屈託のない彼女の笑顔に、見惚れてしまっている自分がいた。
「ん?何かついてる?」
思わずスマホの画面に自分の顔を写して確認する彼女。
「あ、いや、濡れて寒くないかなって思って」
俺は見惚れていたことをごまかすために、とっさの一言を放った。
「心配してくれてる?キミが傘に入れてくれたから大丈夫だよ」
ごまかせてはいたようだが、ニコニコと喋る彼女と、席の近さも相まって俺は何だか気が気じゃない。
「ねえ、何組なの?あたしは3組」
「俺は1組」
「じゃあ担任市川先生でしょ?いいなー」
「何で?」
「だって市川先生優しそうじゃん。うちの太田なんて体育会系なもんだから暑苦しくて」
「ああ、確かに、いろいろとアツい人だよな太田先生は」
どぎまぎしながらも、他愛のない世間話をしている内に俺が降りるバス停に到着した。
「じゃあ、俺ここで降りるから」
「あ!待って!」
「ん?」
「名前、教えて」
「俺の?」
「そう。あたしは真菜」
「俺は、秋。秋って書いて『あきら』って読む」
「あきらくん、あきらくんだね。うん、覚えた、ありがと」
なぜか嬉しそうな彼女に手を振られ、俺も手を小さく振りながらバスを降りた。

筆者 ハザマ



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【ここまでのストーリー】

《第一話》(筆者 矢田川いつき)
「アキー! 一緒に帰ろー!」
放課後のチャイムと同時に、猪の如く向かってくる影がひとつ。
しかし俺は、それを華麗なステップでかわす。
「甘い!」
「わー! 避けないでー!」
ドシーン、と音を立てそうな勢いで彼女が転びそうになる……が、受け止めるまでが俺の役目。
「大丈夫か、真菜?」
「ありがと……って、誰のせいだと!」
「ハハハ」
何気ない、いつもの日常。
ずっと続くと、思ってた。
「帰るか」
「うん!」
俺らはもう……高校3年生だ。

《第二話 A》(筆者 ハニービースト)
俺と真菜が出会ったのは高校1年の夏。暑い日だった。
学校帰りにバス停に向かう途中、急な夕立ちに見舞われ折りたたみ傘を出すと…
「すみません!その傘、一緒に入れて下さい!」と急に女の子が少しぶつかり気味に入ってきた。
「おーっとっと…えっ!なに?」
「今日、雨の予報なんてなかったよね。あーこんなに濡れちゃったー」
「あっ、このハンカチ使います?」
「ありがとう……これって相合い傘ですよねー。少しドキドキしますね。しませんか?」
「いや、まあー」
「いつもバスで本読んでますよね!どんな本を読んでるんですか?」
「いや、まあー……」

それが真菜と俺の最初の出会いだった。

《第三話 C》(筆者 恒李)
傘で覆われる空間は一種のパーソナルスペースだと考えている。そこへ名前も知らない人がいきなり侵入してくるわけだ。普通は嫌悪感を抱くだろう。しかしその悪意の無い強引さと笑顔に負け、このくらいいいかと寛容になる。

「今日は本読まないの?」
バスまでの道のりで同じ学年であることを知り、敬語が外れた口調で覗き込むように訊いてくる。座る気のなかった二人席に腰掛けてるから距離が近い。
「もうぜんぶ読み終わったし、新しいの買おうと思う」
「へぇ、じゃあ今日はお喋りできるね」
横を見ると、目を細めて柔らかく笑うその子がいた。雨に濡れ、いくつもの小さな束を作る前髪が、その笑顔のアクセントになっているように思えた。

《第四話 E》(筆者 ハザマ)
そんな屈託のない彼女の笑顔に、見惚れてしまっている自分がいた。
「ん?何かついてる?」
思わずスマホの画面に自分の顔を写して確認する彼女。
「あ、いや、濡れて寒くないかなって思って」
俺は見惚れていたことをごまかすために、とっさの一言を放った。
「心配してくれてる?キミが傘に入れてくれたから大丈夫だよ」
ごまかせてはいたようだが、ニコニコと喋る彼女と、席の近さも相まって俺は何だか気が気じゃない。
「ねえ、何組なの?あたしは3組」
「俺は1組」
「じゃあ担任市川先生でしょ?いいなー」
「何で?」
「だって市川先生優しそうじゃん。うちの太田なんて体育会系なもんだから暑苦しくて」
「ああ、確かに、いろいろとアツい人だよな太田先生は」
どぎまぎしながらも、他愛のない世間話をしている内に俺が降りるバス停に到着した。
「じゃあ、俺ここで降りるから」
「あ!待って!」
「ん?」
「名前、教えて」
「俺の?」
「そう。あたしは真菜」
「俺は、秋。秋って書いて『あきら』って読む」
「あきらくん、あきらくんだね。うん、覚えた、ありがと」
なぜか嬉しそうな彼女に手を振られ、俺も手を小さく振りながらバスを降りた。


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未来から来た女の子《第八話 A》

「わぷっ!」
海に放り出された私は、沈まないように必死にもがいた。
「待ってルカ!私そんなに泳ぎ上手くない!」
ルカの方を見ると…
「何で浮いてるの!?」
「待ってください、今助けますね」
ルカの手が光ったと思うと、私は徐々に宙に浮いていく。そしてなぜか濡れたはずの髪の毛や服も乾いていく。
なにこれ、魔法?
「どうして急に海に出たの…?さっきまでマンションの前だったのに」
「沙織さんのマンションは、この時代では海になっているってことですよ」
「え?私の住んでるところ、海に沈んでるってこと?」
「説明すると長くなるので、とりあえず陸地に移動しましょう」
そう言うとルカと私は、海の上を浮いたまま動き出した。
私は何もしていないので、どうやらルカが動かしているらしい。
数十分で、私たちはようやく足がつける陸地にたどり着いた。

筆者 ハザマ



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【ここまでのストーリー】

《第一話》 (筆者 Saki)
「ごめんね…、うち今、厳しくて。」
3年勤めたファミレスは、そんな言葉であっさり解雇された。

小野沙織、28歳。
これからどうしよう。
私って何にもないんだよな…

都心から電車で30分。
大田区蒲田にある古いワンルームマンション。

私はここでずっと一人なんだろうか…
二階の部屋を見上げた。
あれ?明かりがついてる。 
急いで階段を上がった。

「あ、お邪魔してます!」
ドアを開けると小さな女の子がベットからぴょこんと立ち上がった。

「私、ルカといいます。遠い未来から来ました。」

《第二話 A》(筆者 Kuuugle)
「あなたは私なんです」
「え!?私?」急に何を言い出すんだろうと沙織は思った。
聞けば、ルカにとって私は前々々世の自分だそうで、どうも今の私がテキトーに生きてるから、来世になるごとに家庭環境が悪化しているらしい。
その状況を何とか変えたいと私のところにやって来たようだ。

《第三話A》(筆者 虹若丸)
「まずはこの散らかり放題の汚い部屋を何とかしなくちゃね・・・。」
ルカは半ば呆れたような声で言った・・・。
「勝手に人の家に上がり込んでおいて、何言うのよ!」
私はすかさず反論した。
「家庭環境の悪化を変えるには、まず身近なところから綺麗にして、運の流れを変えることが重要なのよ!」
ルカも負けてはいない!

《第四話A》(筆者 パチビードク)
「放っといてよ!私、きょう仕事クビになってイライラしてるのよ!そもそもどうやって私の部屋に入ったの?
第一、私の何を変えようということ!」いっきにまくしたて沙織は言った。
「少し落ち着いて下さい!そういう性格や部屋も片づけずテキトーにやっていることが、人生ダメにしてるんです。」
「どうゆうこと?」
「まず、部屋を片づけましょう。」
ルカは大きな箱を取り出して床に放り出されている物を、かたっぱしから箱へ入れた。

《第五話A》(筆者 だしき)
部屋の物がどんどん無くなって行く。ゴミだけではない、本、食器、棚、ついにはベッドまで。
「ドラえもんのポケットのような箱!さすがは未来から来た子だわ。」と半ば感心しながら見ていた沙織だったが、部屋の中が空っぽになると、
「何をやってんの!これじゃ暮らせないじゃない!」
「さあ、行きますよ。」
「どこへ?」
「引っ越しです。」
そういうとルカはさっさと部屋を出て行った。
「ちょっと待ちなさいよ!」

《第六話 A》(筆者 ウナギ)
待ってと止めても聞かないと言うようにルカの小さな背中は早足でどんどんと遠のいていくばかり。
これが本当に子供の歩くスピードなのだろうか。
「引っ越すんだったらマンションも解約しないといけなきゃだし、転居手続きだって…」
「引っ越しと言っても転居はしません。マンションの解約もしません。」ルカはすんなりと転居を否定する。
「えぇ!!!じゃあ一体どういうこと!?」「行くんですよ。」
「どこに?」「未来ですよ。」
「はあ?!?!?!?」
私、未来に行かされるの????

《第七話 A》(筆者 sauna)
「ちょっと待ちなさいルカ!未来ってどういう事なの!」
そう言うと沙織はルカの手を掴んだ。
ルカは顔色一つ変えずに「沙織、そのまま私の手を離さずに目を瞑って!」と自身も目を閉じる。
「ちょっと・・・」沙織は子供に呼び捨てにされ内心イラっとしながらも、手を掴んだまま静かに目を瞑った。
すると不思議な光に包まれ一瞬気を失いそうになる。
ルカの冷たい手の感触が沙織の掌に伝わる。ハッとした沙織はルカの手を離すと同時に一気に目を見開いた。
二人を包んでいた光が徐々に消えていき、徐々に視界が晴れて行く。
「えっ、ここは自宅マンション前の道路だったハズ・・・」
沙織が辺りを見渡すと眼前には広大な海が広がっていた。

《第八話 A》(筆者 ハザマ)
「わぷっ!」
海に放り出された私は、沈まないように必死にもがいた。
「待ってルカ!私そんなに泳ぎ上手くない!」
ルカの方を見ると…
「何で浮いてるの!?」
「待ってください、今助けますね」
ルカの手が光ったと思うと、私は徐々に宙に浮いていく。そしてなぜか濡れたはずの髪の毛や服も乾いていく。
なにこれ、魔法?
「どうして急に海に出たの…?さっきまでマンションの前だったのに」
「沙織さんのマンションは、この時代では海になっているってことですよ」
「え?私の住んでるところ、海に沈んでるってこと?」
「説明すると長くなるので、とりあえず陸地に移動しましょう」
そう言うとルカと私は、海の上を浮いたまま動き出した。
私は何もしていないので、どうやらルカが動かしているらしい。
数十分で、私たちはようやく足がつける陸地にたどり着いた。


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未来から来た女の子《第七話 A》

「ちょっと待ちなさいルカ!未来ってどういう事なの!」
そう言うと沙織はルカの手を掴んだ。
ルカは顔色一つ変えずに「沙織、そのまま私の手を離さずに目を瞑って!」と自身も目を閉じる。
「ちょっと・・・」沙織は子供に呼び捨てにされ内心イラっとしながらも、手を掴んだまま静かに目を瞑った。
すると不思議な光に包まれ一瞬気を失いそうになる。
ルカの冷たい手の感触が沙織の掌に伝わる。ハッとした沙織はルカの手を離すと同時に一気に目を見開いた。
二人を包んでいた光が徐々に消えていき、徐々に視界が晴れて行く。
「えっ、ここは自宅マンション前の道路だったハズ・・・」
沙織が辺りを見渡すと眼前には広大な海が広がっていた。

筆者 sauna



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未来から来た女の子《第八話 A》


【ここまでのストーリー】

《第一話》 (筆者 Saki)
「ごめんね…、うち今、厳しくて。」
3年勤めたファミレスは、そんな言葉であっさり解雇された。

小野沙織、28歳。
これからどうしよう。
私って何にもないんだよな…

都心から電車で30分。
大田区蒲田にある古いワンルームマンション。

私はここでずっと一人なんだろうか…
二階の部屋を見上げた。
あれ?明かりがついてる。 
急いで階段を上がった。

「あ、お邪魔してます!」
ドアを開けると小さな女の子がベットからぴょこんと立ち上がった。

「私、ルカといいます。遠い未来から来ました。」

《第二話 A》(筆者 Kuuugle)
「あなたは私なんです」
「え!?私?」急に何を言い出すんだろうと沙織は思った。
聞けば、ルカにとって私は前々々世の自分だそうで、どうも今の私がテキトーに生きてるから、来世になるごとに家庭環境が悪化しているらしい。
その状況を何とか変えたいと私のところにやって来たようだ。

《第三話A》(筆者 虹若丸)
「まずはこの散らかり放題の汚い部屋を何とかしなくちゃね・・・。」
ルカは半ば呆れたような声で言った・・・。
「勝手に人の家に上がり込んでおいて、何言うのよ!」
私はすかさず反論した。
「家庭環境の悪化を変えるには、まず身近なところから綺麗にして、運の流れを変えることが重要なのよ!」
ルカも負けてはいない!

《第四話A》(筆者 パチビードク)
「放っといてよ!私、きょう仕事クビになってイライラしてるのよ!そもそもどうやって私の部屋に入ったの?
第一、私の何を変えようということ!」いっきにまくしたて沙織は言った。
「少し落ち着いて下さい!そういう性格や部屋も片づけずテキトーにやっていることが、人生ダメにしてるんです。」
「どうゆうこと?」
「まず、部屋を片づけましょう。」
ルカは大きな箱を取り出して床に放り出されている物を、かたっぱしから箱へ入れた。

《第五話A》(筆者 だしき)
部屋の物がどんどん無くなって行く。ゴミだけではない、本、食器、棚、ついにはベッドまで。
「ドラえもんのポケットのような箱!さすがは未来から来た子だわ。」と半ば感心しながら見ていた沙織だったが、部屋の中が空っぽになると、
「何をやってんの!これじゃ暮らせないじゃない!」
「さあ、行きますよ。」
「どこへ?」
「引っ越しです。」
そういうとルカはさっさと部屋を出て行った。
「ちょっと待ちなさいよ!」

《第六話 A》(筆者 ウナギ)
待ってと止めても聞かないと言うようにルカの小さな背中は早足でどんどんと遠のいていくばかり。
これが本当に子供の歩くスピードなのだろうか。
「引っ越すんだったらマンションも解約しないといけなきゃだし、転居手続きだって…」
「引っ越しと言っても転居はしません。マンションの解約もしません。」ルカはすんなりと転居を否定する。
「えぇ!!!じゃあ一体どういうこと!?」「行くんですよ。」
「どこに?」「未来ですよ。」
「はあ?!?!?!?」
私、未来に行かされるの????

《第七話 A》(筆者 sauna)
「ちょっと待ちなさいルカ!未来ってどういう事なの!」
そう言うと沙織はルカの手を掴んだ。
ルカは顔色一つ変えずに「沙織、そのまま私の手を離さずに目を瞑って!」と自身も目を閉じる。
「ちょっと・・・」沙織は子供に呼び捨てにされ内心イラっとしながらも、手を掴んだまま静かに目を瞑った。
すると不思議な光に包まれ一瞬気を失いそうになる。
ルカの冷たい手の感触が沙織の掌に伝わる。ハッとした沙織はルカの手を離すと同時に一気に目を見開いた。
二人を包んでいた光が徐々に消えていき、徐々に視界が晴れて行く。
「えっ、ここは自宅マンション前の道路だったハズ・・・」
沙織が辺りを見渡すと眼前には広大な海が広がっていた。


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Suspicion-疑惑 -《第三話 C》

「って、誰だよこれ!」
2人の姉が写っていた筈の写真に代わりに写っていたのは、1度も会った事のない人物だった。
 いったいなんだというんだ。先週からずっと、信じ難い事の連続じゃあないか。
 己が頬が徐々に紅潮してゆくのが解り、焦る心が酷く急き立てられているという情けない現実を自分でもハッキリと認識する事ができた。
 先週始め、長期旅行に出かけていた筈の長姉と次姉の部屋に撒き散らされていた何らかの獣の血痕。それを見つけ俺が啞然としている最中に、何者かが家に火を点けようとしている事に気づき、追いかけ、見失い諦めたところで長姉からスマホに着信が入り、「……私を、助けて。助けないと、ルクス……10日後、腕が失くなるよ」とだけ言い残し通話が途切れた。
 直後に次姉からも着信が入り、ほぼ同じ内容で今度は「ルーちゃん足が失くなるよ」と言い残しこれも切れた。
 で、俺はそれから走り屋仲間に声をかけ血眼になり姉達を捜索し、姉達の乗るお揃いのNinja e-1が階段横に停められている古いアパートを奇跡的に見つけたんだ。2階のベランダに姉の愛用の派手な洗車タオルが干されている事も確認した。
 だが、運悪く知己の刑事と出くわし、よりにもよって下着泥棒の疑いをかけられ追いかけられる羽目になり、今に至る。
 全ては普段の自分の悪業のせいなのだが、冤罪甚だしき状況にはほとほと嫌気が差していた。
 と、刹那に、写真の中の2人の女がこちらを見やり口を動かした気がした。
「何だよ……」
 思えば、何故俺はこんな写真を持っていたのだろう。
 聞き込み用にと持ち歩いていた姉達の写真は、いくらポケットを探ろうと見つからない。
 情報収集の為の大切な写真だ。
 何処かで落としてしまったとでもいうのだろうか?
 刑事が訝しげに俺に問いかけた。
「何だァ? 写真も盗品だってのか? まさかお前、自分が何処で何を盗ったのかすら覚えてないのかよ?」
「だからオッチャン! 俺は下着なんて盗らないって」
「ちげーよ。誰がいつ下着盗ったなんて言ったよ。俺がお前を追っているのは、別の物を盗ったからだろ?」
「何も盗ってねーよ! ……何も──ん? あれ? 何も、盗ってねーよ……な?」
「お前、思い出せねーの? 大丈夫か?」
 頭に靄がかかり頭痛がする。
「思い出せないと──首が失くなるよ?」
 刑事の頭がグルンと逆さまになった。

筆者 三日月月洞



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【ここまでのストーリー】


《第一話》(筆者 るくすすん)

梅雨入りしそうなじっとりとした真夜中
ひとりで単車を転がしていた

ふッとバックミラーをのぞき込むと
煌々と警察車両の赤色灯とサイレンが俺を追っていた

警察車両の1台が、拡声器を使い停止命令を訴えていた
『とまれ小僧!!!』

すごい剣幕で、俺の単車の後を追いかけてくる

素直に止まるはずもない
東京から神奈川に入る県境
多摩川の上を走り向ける

目の前に見えるのは川崎の高層ビル群と神奈川県警の交機

後方には蒲田警察
前方には神奈川県警の交機

多摩川の橋の上で赤色灯に囲まれ 絶体絶命!

しばらくすると逆車線の川崎方面から一台の軽自動車が上って来た

俺は賺さず、軽自動車が上って来た方向へハンドルを切り
アクセルを吹かした

まんまと警察車両をかわし武蔵小杉方面へ走り出す
後方からサイレンの音が聞こえるが追いつく感じはしなかった…

再び東京方面へ単車を走らせ、環八を抜け駒沢通りへ
呑川親水公園で単車を降りた。

すると、暗闇から3人の男達が現れ俺の名前を呼んだ!

 アマモト ルクス
 天本るくす 年は17歳 現役高校性
 蒲田を流れる小汚い呑川近辺で育った
 家族は大手企業に勤める父と貿易会社を営む母
 兄弟は姉が2人(長女は23歳 次女は19歳の大学生)

俺は今日…次女の姉を助けにこの場所にやって来た…


《第二話 B》(筆者 ただの通りすがり)

勝手知ったる顔だ。やつらは警視庁第三課、窃盗事件を担当する刑事だ。

どうやら先回りしてきたようだ。
「お前がここに来ることは分かっている」と刑事のひとりが言った。

また俺の邪魔をしに来やがった。

一週間前もそうだった。
その時は長女の姉を助けるため、この場所に来た。姉が監禁されているアパートの2階の部屋に外から踏み込もうとベランダに手を掛けた時、やつらが現れた。
「窃盗未遂で逮捕する」俺は連行された。

今日は次女の姉を助けに来たのに・・・・
あの2階の部屋、ベランダに物干し竿がある部屋、あそこに姉が・・・・

刑事が言った。
「嘘を付くな。お前に姉などいない。また盗みに来たのか。
懲りない”妄想野郎”だ」

やつらは何をいっているのだ。俺は姉たちの写真を持っている。これが証拠だ!
手に持った写真には、楽しそうに食事する女性2人が写っている。
しかしそれはネット上に転がっているありふれた画像だった。

《第三話 C》(筆者 三日月月洞)

「って、誰だよこれ!」
2人の姉が写っていた筈の写真に代わりに写っていたのは、1度も会った事のない人物だった。
 いったいなんだというんだ。先週からずっと、信じ難い事の連続じゃあないか。
 己が頬が徐々に紅潮してゆくのが解り、焦る心が酷く急き立てられているという情けない現実を自分でもハッキリと認識する事ができた。
 先週始め、長期旅行に出かけていた筈の長姉と次姉の部屋に撒き散らされていた何らかの獣の血痕。それを見つけ俺が啞然としている最中に、何者かが家に火を点けようとしている事に気づき、追いかけ、見失い諦めたところで長姉からスマホに着信が入り、「……私を、助けて。助けないと、ルクス……10日後、腕が失くなるよ」とだけ言い残し通話が途切れた。
 直後に次姉からも着信が入り、ほぼ同じ内容で今度は「ルーちゃん足が失くなるよ」と言い残しこれも切れた。
 で、俺はそれから走り屋仲間に声をかけ血眼になり姉達を捜索し、姉達の乗るお揃いのNinja e-1が階段横に停められている古いアパートを奇跡的に見つけたんだ。2階のベランダに姉の愛用の派手な洗車タオルが干されている事も確認した。
 だが、運悪く知己の刑事と出くわし、よりにもよって下着泥棒の疑いをかけられ追いかけられる羽目になり、今に至る。
 全ては普段の自分の悪業のせいなのだが、冤罪甚だしき状況にはほとほと嫌気が差していた。
 と、刹那に、写真の中の2人の女がこちらを見やり口を動かした気がした。
「何だよ……」
 思えば、何故俺はこんな写真を持っていたのだろう。
 聞き込み用にと持ち歩いていた姉達の写真は、いくらポケットを探ろうと見つからない。
 情報収集の為の大切な写真だ。
 何処かで落としてしまったとでもいうのだろうか?
 刑事が訝しげに俺に問いかけた。
「何だァ? 写真も盗品だってのか? まさかお前、自分が何処で何を盗ったのかすら覚えてないのかよ?」
「だからオッチャン! 俺は下着なんて盗らないって」
「ちげーよ。誰がいつ下着盗ったなんて言ったよ。俺がお前を追っているのは、別の物を盗ったからだろ?」
「何も盗ってねーよ! ……何も──ん? あれ? 何も、盗ってねーよ……な?」
「お前、思い出せねーの? 大丈夫か?」
 頭に靄がかかり頭痛がする。
「思い出せないと──首が失くなるよ?」
 刑事の頭がグルンと逆さまになった。


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ひと粒のコロナウイルス《第三話 A》

すると胃から何かが覗いている。
モジモジしている姿が可愛らしい。
よく見たら僕たちに似ているな。
もしかして僕のお母さん!?

筆者 ちゅ



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【ここまでのストーリー】

《第一話》(筆者 ねもねも~と)
今日、僕の住んでいた体が止まった
血液の流れる音も、心臓の鼓動も、何も聞こえなくなった。
2週間前。
僕は誰かの体の中で生まれた。
多分、僕のお母さん。でも、兄弟がいっぱいいるから、お母さんの姿を見たことがない。それでも、僕には沢山の兄弟がいるから、全然寂しくはなかった。

《第二話 A》(筆者 ねもねも~と)
兄弟達と一緒に肺で遊んでいたんだ。
そしたら、急に突風が吹いて来て、食道まで飛ばされた。兄弟達も一緒に飛ばされた。僕は兄弟達と一緒にまた思わぬ突風で飛ばされないように、食道の隅っこで兄弟達と一緒に居た。

《第三話 A》(筆者 ちゅ)
すると胃から何かが覗いている。
モジモジしている姿が可愛らしい。
よく見たら僕たちに似ているな。
もしかして僕のお母さん!?


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みんなで繋ぐ物語(RWY)《第二話 B》

…and the old man knows very well that going out to sea on a boat is big deal because he’s doing it, day in and day out. But what if he lets Pochi join in…

(Google翻訳)
…そして老人は、毎日毎日それをしているので、ボートで海に出ることが大変なことであることをよく知っています。でも、ポチを仲間に入れたらどうなるか…。

筆者 Mok



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【ここまでのストーリー】

《第一話》(筆者 虹若丸)
昔、昔、あるところにおじいさんとおばあさんとポチが住んでいました!
ある日、おじいさんは海へ釣りに出かけました・・・。

《第二話 B》(筆者 Mok)
…and the old man knows very well that going out to sea on a boat is big deal because he’s doing it, day in and day out. But what if he lets Pochi join in…

(Google翻訳)
…そして老人は、毎日毎日それをしているので、ボートで海に出ることが大変なことであることをよく知っています。でも、ポチを仲間に入れたらどうなるか…。


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みんなで繋ぐ物語(RWY)《第11話 A》

謎の飛来物を見つめるポチ。高速で接近してきた小さな飛来物は、船の上空を何度か旋回した後におじいさんの肩にピタッと着地した。
「キジじゃ」
おじいさんが笑顔で肩にとまったバッタを指差した。

「え?それはキジじゃなくてバッ・・」
おじいさんはそう言いかけたポチの口を指で塞いだ。
「予算がないんじゃ、わかるじゃろ?そもそもサルのお前にポチ役もやらせている時点で察してたじゃろ?」
年金生活をしている老夫婦には仲間を雇う資金がなかったのである。
「えっ?でもこういうのって、きび団子をあげて仲・・・」
おじいさんはそう言いかけたポチの口を指で塞いだ。
「なにを童話みたいなコト言っとるんじゃ!現実をみなさい、ポチ。」

「まぁまぁお二人さん、目的は鬼退治でしょ?仲間割れしてる場合じゃないよ。」
おじいさんの肩に乗ったバッタが喋り出し二人を制した。
「ここに飛んで来る途中に鬼ヶ島の下見をしてきたんだ、島の地理は大体頭に入ってるぜ!」
そういうとバッタは自分の小さな頭を自慢げに前足で差した。
「ヨシヨシ」
おじいさんは指でバッタを愛でる。
そうこうしている内に船から見える鬼ヶ島も既に眼前に迫っていた。

「まもなく鬼ヶ島港です、下船の際はお忘れ物のないようご注意ください」
船内アナウンスが流れて、一行を乗せた船は鬼ヶ島の港に吸いよせられるように入港していった。

筆者 sauna



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【ここまでのストーリー】

《第一話》(筆者 虹若丸)
昔、昔、あるところにおじいさんとおばあさんとポチが住んでいました!
ある日、おじいさんは海へ釣りに出かけました・・・。

《第二話 A》(筆者 ミミ子ちぶちぶ隊番犬)
おばあさんから
「おじいさん ポチも釣りに連れて行ってください。散歩兼お供に。」と言われました。
大きなおにぎり2つを腰につけ出発〜♪

《第三話 B》(筆者 新参者)
おじいさんとポチは釣竿片手に歩き始めました。海に着くと向こう側に鬼ヶ島が見えます。
あれはかつて桃太郎が退治したという鬼が住まう島です。
ポチは言いました。

「おじいさん!あと犬とキジがいれば鬼退治ができるね!」

なんと!ポチはおさるさんだったのです!

《第四話 E》(筆者 トム助
「はて、また鬼が悪さしとるんか?そないなことは何も聞いとらんが……わしが知らんだけかのう」
おじいさんは自慢の髭を撫でながら首を傾げました。

ポチは何も言わず、辺りを見渡しました。
すると、遠くの方から、誰かの叫び声が聞こえてくるではありませんか。

《第五話 D》(筆者 多菓子
「なんじゃ、なんじゃ!?」
おじいさんが声のする方に歩いていくとそこには鬼が倒れていました。いたるところをケガしています。
「これはこれは。」
また、鬼が悪さをしている、、、、という訳ではなさそうです。

「鬼ヶ島を救ってくれ、、、、」

鬼はか細く呟きました。

《第六話 D》(筆者 たじ
じいさんは心配して、鬼にたずねました。
「鬼さん、鬼さん、何があったのじゃ?」

鬼は、それに答えます。
「空から黒い大きな者がやってきて、鬼ヶ島で暴れておる」と、涙を流し始めました。
「まだ、仲間達が戦っておるのじゃ…」

じいさんは、驚きを隠せず大声で叫びました。
「なんと!鬼より強い者がおるというのか~?!」

《第七話 B》(筆者 バニバニ王子
黒く大きなもの…それは空に浮かぶ大きな鏡で、覗いても鏡の中は真っ暗で何も映らない。
鏡から毎日、黒い鬼のゾンビが落ちてきて、島の鬼たちを喰らい尽くそうとしている…と、鬼は語った。

《第八話 A》(筆者 イチゴサンド
「そ、それは大変じゃあないか!」
「もう手遅れかもしれないのじゃ」鬼は泣きながらおじいさんに訴えました。

「仲間を…救ってくれ」そう言ってその鬼は静かに息を引き取りました。

《第九話 A》(筆者 sauna
鬼の亡き骸を埋めた後、鬼ヶ島行きの船内でおじいさんとポチは無言でおにぎりをほおばる。船のデッキから見える鬼ヶ島はだいぶ大きくなっている。冷たい冬の潮風がおじいさんの垂れた頬を揺らす。

しばらくすると、ここまで一言も話さなかったポチが重い口を開いた。

《第十話 B》(筆者 sauna
ポチ「おじいさん、仲間がまだ揃ってないよ」
爺「心配するなサルよ。既に仲間の1人はこちらに向かっておる」
そういうとおじいさんは西の方角を指差した。

冷たい風にさらされながら鬼ヶ島に向かう船。ポチはおじいさんが指を指す方向を見ると、遠くの方から何かが凄い勢いで飛んできた。

《第11話 A》(筆者 sauna)
謎の飛来物を見つめるポチ。高速で接近してきた小さな飛来物は、船の上空を何度か旋回した後におじいさんの肩にピタッと着地した。
「キジじゃ」
おじいさんが笑顔で肩にとまったバッタを指差した。

「え?それはキジじゃなくてバッ・・」
おじいさんはそう言いかけたポチの口を指で塞いだ。
「予算がないんじゃ、わかるじゃろ?そもそもサルのお前にポチ役もやらせている時点で察してたじゃろ?」
年金生活をしている老夫婦には仲間を雇う資金がなかったのである。
「えっ?でもこういうのって、きび団子をあげて仲・・・」
おじいさんはそう言いかけたポチの口を指で塞いだ。
「なにを童話みたいなコト言っとるんじゃ!現実をみなさい、ポチ。」

「まぁまぁお二人さん、目的は鬼退治でしょ?仲間割れしてる場合じゃないよ。」
おじいさんの肩に乗ったバッタが喋り出し二人を制した。
「ここに飛んで来る途中に鬼ヶ島の下見をしてきたんだ、島の地理は大体頭に入ってるぜ!」
そういうとバッタは自分の小さな頭を自慢げに前足で差した。
「ヨシヨシ」
おじいさんは指でバッタを愛でる。
そうこうしている内に船から見える鬼ヶ島も既に眼前に迫っていた。

「まもなく鬼ヶ島港です、下船の際はお忘れ物のないようご注意ください」
船内アナウンスが流れて、一行を乗せた船は鬼ヶ島の港に吸いよせられるように入港していった。


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【青春小説】春色の思い出とともに《第五話 B》

西條の口調と視線にどう返すべきかと思慮し、口を開こうとした時だった。

「二人ともおまたせぇ!」
俺の後ろからした声は、俺たちだけに聞こえるようにおさえてはいるが明るく元気なハイトーン。俺はゆっくりと振り向くが、正面にいた西條の反応は早かった。

「真菜さん、ポニーテールも似合うね」
「えへへ。そうかな?」
真菜は嬉しそうに照れて前髪をちょいちょいといじる。確かにこれまでと違う雰囲気と西條に先制パンチをされたことで俺は止まってしまっていた。

「アキはどう思う?」
伺い込む仕草に艷やかな黒髪が揺れ、大きな瞳が俺を見つめてきて、俺は思わず視線を避けて用意していた机の上の資料を指差す。
「これがすごい似合いそうだな」
俺が誤魔化しに指さしたページを後ろから覗き込んできた。

筆者 宇水涼麻



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【ここまでのストーリー】

《第一話》(筆者 矢田川いつき)
「アキー! 一緒に帰ろー!」
放課後のチャイムと同時に、猪の如く向かってくる影がひとつ。
しかし俺は、それを華麗なステップでかわす。
「甘い!」
「わー! 避けないでー!」
ドシーン、と音を立てそうな勢いで彼女が転びそうになる……が、受け止めるまでが俺の役目。
「大丈夫か、真菜?」
「ありがと……って、誰のせいだと!」
「ハハハ」
何気ない、いつもの日常。
ずっと続くと、思ってた。
「帰るか」
「うん!」
俺らはもう……高校3年生だ。

《第二話 C》(筆者 suzu)
俺が真菜と初めて出会ったのは、高校に入学してから1週間くらいが経ったある日のこと。
各クラス全体を少人数で割り振り、レポート作成や校外探検などを行う、いわゆる課外活動。
「えー、それでは今から番号を振っていきます。自分と同じ番号の人とグループになってください!」
見るからに新人な男性教員が賑わう生徒達に声をかける。
俺はそれでも静寂にならない教室の様子に1つ息を吐き、窓際の席に座りながら風で宙を舞う桜の花びらを見つめていた。
「…重いな」
人見知りの部分がある俺にすると、正直レポートより気が重かった。友達からはそうは見えないと言われるけど、本当に苦手で。
グループワークなんて入学間もない時期はあるあるだと分かっていても、早く終わらないか考えてばかり。
数分後、俺は先生から5番という数字を言い渡され、仕方ないと言い聞かせて彼の合図でグループの人を探すことになった。
「あ、5番?」
「、ああ」
「よろしくな」
グループは全員で3人。まずは1人、隣のクラスの男子を見つける。
ーーすると、背後からツンツンと背中を突かれた。
「ねぇ、何番?」
「あ、俺は5番─…」
黒髪のセミロングに、パッチリとした瞳。一気に吸い込まれる。
「本当に?私も5番。一緒だ!」
それから放課後、図書室で一緒に資料を作ったり。発表の時には小さな声で打ち合わせをしたり。
端から見たら何ともない…どこにでもある景色だと思う。
「私は真菜。真菜で良いよ」
「…よろしく、真菜。俺は…アキ」
「アキ、よろしくね」
────でも、きっと俺は。
君がそう、俺に微笑んだあの瞬間から、始まっていたんだ。

《第三話 A》(筆者 物部木絹子)
「夏目さんって可愛いよな。」
「……そうか? 別に普通じゃね?」
 俺は一瞬、心の奥を見透かされたような気がして気づけば思ってもいない返答をしていた。
 放課後の図書室、今は同じ5番グループの西條 誠(さいじょう まこと)と2人で課題の【戦国武将の愛したファッション】で集めた資料を前に話し合いをしていたところだ。

《第四話 A》(筆者 物部木絹子)
西條はメモ書きしていたシャープペンシルを机にコトリ、と置く。

「俺さ、実は夏目……真菜さんのこと、好きでさ。コクろうかと思ってたんだ。けど、冬島くん、何だか彼女に気がありそうだったからぶっちゃけ引っかかってて……本当に彼女の事、何とも思ってないの?」

そう言いこちらを真っ直ぐ見つめる西條の瞳は澄んでいたのだが、どこか挑発を含んでいるようにも感じられた。

(何とも思ってないわけないだろ、一目惚れしたんだ)

《第五話 B》(筆者 宇水涼麻)
西條の口調と視線にどう返すべきかと思慮し、口を開こうとした時だった。

「二人ともおまたせぇ!」
俺の後ろからした声は、俺たちだけに聞こえるようにおさえてはいるが明るく元気なハイトーン。俺はゆっくりと振り向くが、正面にいた西條の反応は早かった。

「真菜さん、ポニーテールも似合うね」
「えへへ。そうかな?」
真菜は嬉しそうに照れて前髪をちょいちょいといじる。確かにこれまでと違う雰囲気と西條に先制パンチをされたことで俺は止まってしまっていた。

「アキはどう思う?」
伺い込む仕草に艷やかな黒髪が揺れ、大きな瞳が俺を見つめてきて、俺は思わず視線を避けて用意していた机の上の資料を指差す。
「これがすごい似合いそうだな」
俺が誤魔化しに指さしたページを後ろから覗き込んできた。


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未来から来た女の子《第六話 A》

待ってと止めても聞かないと言うようにルカの小さな背中は早足でどんどんと遠のいていくばかり。
これが本当に子供の歩くスピードなのだろうか。
「引っ越すんだったらマンションも解約しないといけなきゃだし、転居手続きだって…」
「引っ越しと言っても転居はしません。マンションの解約もしません。」ルカはすんなりと転居を否定する。
「えぇ!!!じゃあ一体どういうこと!?」「行くんですよ。」
「どこに?」「未来ですよ。」
「はあ?!?!?!?」
私、未来に行かされるの????

筆者 ウナギ



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未来から来た女の子《第七話 A》


【ここまでのストーリー】

《第一話》 (筆者 Saki)
「ごめんね…、うち今、厳しくて。」
3年勤めたファミレスは、そんな言葉であっさり解雇された。

小野沙織、28歳。
これからどうしよう。
私って何にもないんだよな…

都心から電車で30分。
大田区蒲田にある古いワンルームマンション。

私はここでずっと一人なんだろうか…
二階の部屋を見上げた。
あれ?明かりがついてる。 
急いで階段を上がった。

「あ、お邪魔してます!」
ドアを開けると小さな女の子がベットからぴょこんと立ち上がった。

「私、ルカといいます。遠い未来から来ました。」

《第二話 A》(筆者 Kuuugle)
「あなたは私なんです」
「え!?私?」急に何を言い出すんだろうと沙織は思った。
聞けば、ルカにとって私は前々々世の自分だそうで、どうも今の私がテキトーに生きてるから、来世になるごとに家庭環境が悪化しているらしい。
その状況を何とか変えたいと私のところにやって来たようだ。

《第三話A》(筆者 虹若丸)
「まずはこの散らかり放題の汚い部屋を何とかしなくちゃね・・・。」
ルカは半ば呆れたような声で言った・・・。
「勝手に人の家に上がり込んでおいて、何言うのよ!」
私はすかさず反論した。
「家庭環境の悪化を変えるには、まず身近なところから綺麗にして、運の流れを変えることが重要なのよ!」
ルカも負けてはいない!

《第四話A》(筆者 パチビードク)
「放っといてよ!私、きょう仕事クビになってイライラしてるのよ!そもそもどうやって私の部屋に入ったの?
第一、私の何を変えようということ!」いっきにまくしたて沙織は言った。
「少し落ち着いて下さい!そういう性格や部屋も片づけずテキトーにやっていることが、人生ダメにしてるんです。」
「どうゆうこと?」
「まず、部屋を片づけましょう。」
ルカは大きな箱を取り出して床に放り出されている物を、かたっぱしから箱へ入れた。

《第五話A》(筆者 だしき)
部屋の物がどんどん無くなって行く。ゴミだけではない、本、食器、棚、ついにはベッドまで。
「ドラえもんのポケットのような箱!さすがは未来から来た子だわ。」と半ば感心しながら見ていた沙織だったが、部屋の中が空っぽになると、
「何をやってんの!これじゃ暮らせないじゃない!」
「さあ、行きますよ。」
「どこへ?」
「引っ越しです。」
そういうとルカはさっさと部屋を出て行った。
「ちょっと待ちなさいよ!」

《第六話 A》(筆者 ウナギ)
待ってと止めても聞かないと言うようにルカの小さな背中は早足でどんどんと遠のいていくばかり。
これが本当に子供の歩くスピードなのだろうか。
「引っ越すんだったらマンションも解約しないといけなきゃだし、転居手続きだって…」
「引っ越しと言っても転居はしません。マンションの解約もしません。」ルカはすんなりと転居を否定する。
「えぇ!!!じゃあ一体どういうこと!?」「行くんですよ。」
「どこに?」「未来ですよ。」
「はあ?!?!?!?」
私、未来に行かされるの????


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【青春小説】春色の思い出とともに《第四話 D》

しかし、そんな俺たちに問題が起きた。
真菜が、告白されたのだ。
しかも、学校1のイケメン人気者、実家が資産家で御曹司の坂口ルカに。
もちろん真菜は付き合った。
元々真菜は学校のマドンナだし、いわゆる美少女っていう分類に属していた。
あの2人はお似合いだ。
そう俺は思って、トボトボと通学路を歩いていたら…。
「空(アキ)くん!?」
後ろから、懐かしくて、可憐な声がした。
そこにはー。

筆者 Coconuts



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【ここまでのストーリー】

《第一話》(筆者 矢田川いつき)
「アキー! 一緒に帰ろー!」
放課後のチャイムと同時に、猪の如く向かってくる影がひとつ。
しかし俺は、それを華麗なステップでかわす。
「甘い!」
「わー! 避けないでー!」
ドシーン、と音を立てそうな勢いで彼女が転びそうになる……が、受け止めるまでが俺の役目。
「大丈夫か、真菜?」
「ありがと……って、誰のせいだと!」
「ハハハ」
何気ない、いつもの日常。
ずっと続くと、思ってた。
「帰るか」
「うん!」
俺らはもう……高校3年生だ。

《第二話 A》(筆者 ハニービースト)
俺と真菜が出会ったのは高校1年の夏。暑い日だった。
学校帰りにバス停に向かう途中、急な夕立ちに見舞われ折りたたみ傘を出すと…
「すみません!その傘、一緒に入れて下さい!」と急に女の子が少しぶつかり気味に入ってきた。
「おーっとっと…えっ!なに?」
「今日、雨の予報なんてなかったよね。あーこんなに濡れちゃったー」
「あっ、このハンカチ使います?」
「ありがとう……これって相合い傘ですよねー。少しドキドキしますね。しませんか?」
「いや、まあー」
「いつもバスで本読んでますよね!どんな本を読んでるんですか?」
「いや、まあー……」

それが真菜と俺の最初の出会いだった。

《第三話 C》(筆者 恒李)
傘で覆われる空間は一種のパーソナルスペースだと考えている。そこへ名前も知らない人がいきなり侵入してくるわけだ。普通は嫌悪感を抱くだろう。しかしその悪意の無い強引さと笑顔に負け、このくらいいいかと寛容になる。

「今日は本読まないの?」
バスまでの道のりで同じ学年であることを知り、敬語が外れた口調で覗き込むように訊いてくる。座る気のなかった二人席に腰掛けてるから距離が近い。
「もうぜんぶ読み終わったし、新しいの買おうと思う」
「へぇ、じゃあ今日はお喋りできるね」
横を見ると、目を細めて柔らかく笑うその子がいた。雨に濡れ、いくつもの小さな束を作る前髪が、その笑顔のアクセントになっているように思えた。

《第四話 D》(筆者 Coconuts)
しかし、そんな俺たちに問題が起きた。
真菜が、告白されたのだ。
しかも、学校1のイケメン人気者、実家が資産家で御曹司の坂口ルカに。
もちろん真菜は付き合った。
元々真菜は学校のマドンナだし、いわゆる美少女っていう分類に属していた。
あの2人はお似合いだ。
そう俺は思って、トボトボと通学路を歩いていたら…。
「空(アキ)くん!?」
後ろから、懐かしくて、可憐な声がした。
そこにはー。


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