【青春小説】春色の思い出とともに《第八話 A》

悔しさは、バネを産む。
アキラたち4組バスケットボールチームは、5人中4人が中学時代のバスケ部出身者。
2年生の時は決勝戦で3年生に破れ、迎えた朝の体育祭でようやく優勝した。
相手は、2年生。
同点でホイスル。
チーム5人によるフリースロー。
最後に決めたのは、バスケット未経験者のマモルだった。
体育館に鳴り響く「キャー」の声。
2階席を見やると、他ならない「真菜」の声だった。
「真菜」は、卓球の名手。中学生の時に全国大会出場の経験を持つ。「キャー」の叫び声とは似つかわない沈着冷静なラケット捌きが威光を放つ。
彼女のクラスは、卓球種目で優勝を果たし、バスケットの観戦に来ていたらしい。

筆者 如月 肇



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【ここまでのストーリー】

《第一話》(筆者 矢田川いつき)
「アキー! 一緒に帰ろー!」
放課後のチャイムと同時に、猪の如く向かってくる影がひとつ。
しかし俺は、それを華麗なステップでかわす。
「甘い!」
「わー! 避けないでー!」
ドシーン、と音を立てそうな勢いで彼女が転びそうになる……が、受け止めるまでが俺の役目。
「大丈夫か、真菜?」
「ありがと……って、誰のせいだと!」
「ハハハ」
何気ない、いつもの日常。
ずっと続くと、思ってた。
「帰るか」
「うん!」
俺らはもう……高校3年生だ。

《第二話 A》(筆者 ハニービースト)
俺と真菜が出会ったのは高校1年の夏。暑い日だった。
学校帰りにバス停に向かう途中、急な夕立ちに見舞われ折りたたみ傘を出すと…
「すみません!その傘、一緒に入れて下さい!」と急に女の子が少しぶつかり気味に入ってきた。
「おーっとっと…えっ!なに?」
「今日、雨の予報なんてなかったよね。あーこんなに濡れちゃったー」
「あっ、このハンカチ使います?」
「ありがとう……これって相合い傘ですよねー。少しドキドキしますね。しませんか?」
「いや、まあー」
「いつもバスで本読んでますよね!どんな本を読んでるんですか?」
「いや、まあー……」

それが真菜と俺の最初の出会いだった。

《第三話 C》(筆者 恒李)
傘で覆われる空間は一種のパーソナルスペースだと考えている。そこへ名前も知らない人がいきなり侵入してくるわけだ。普通は嫌悪感を抱くだろう。しかしその悪意の無い強引さと笑顔に負け、このくらいいいかと寛容になる。

「今日は本読まないの?」
バスまでの道のりで同じ学年であることを知り、敬語が外れた口調で覗き込むように訊いてくる。座る気のなかった二人席に腰掛けてるから距離が近い。
「もうぜんぶ読み終わったし、新しいの買おうと思う」
「へぇ、じゃあ今日はお喋りできるね」
横を見ると、目を細めて柔らかく笑うその子がいた。雨に濡れ、いくつもの小さな束を作る前髪が、その笑顔のアクセントになっているように思えた。

《第四話 E》(筆者 ハザマ)
そんな屈託のない彼女の笑顔に、見惚れてしまっている自分がいた。
「ん?何かついてる?」
思わずスマホの画面に自分の顔を写して確認する彼女。
「あ、いや、濡れて寒くないかなって思って」
俺は見惚れていたことをごまかすために、とっさの一言を放った。
「心配してくれてる?キミが傘に入れてくれたから大丈夫だよ」
ごまかせてはいたようだが、ニコニコと喋る彼女と、席の近さも相まって俺は何だか気が気じゃない。
「ねえ、何組なの?あたしは3組」
「俺は1組」
「じゃあ担任市川先生でしょ?いいなー」
「何で?」
「だって市川先生優しそうじゃん。うちの太田なんて体育会系なもんだから暑苦しくて」
「ああ、確かに、いろいろとアツい人だよな太田先生は」
どぎまぎしながらも、他愛のない世間話をしている内に俺が降りるバス停に到着した。
「じゃあ、俺ここで降りるから」
「あ!待って!」
「ん?」
「名前、教えて」
「俺の?」
「そう。あたしは真菜」
「俺は、秋。秋って書いて『あきら』って読む」
「あきらくん、あきらくんだね。うん、覚えた、ありがと」
なぜか嬉しそうな彼女に手を振られ、俺も手を小さく振りながらバスを降りた。

《第五話 C》(筆者 恒李)
途中で書店に寄って次に読もうと思ってたミステリー小説を買い、自宅へと帰った。だらだらと過ごして寝床につく前、あの女の子のことを思い出した。
名前、なんだったけと思いながらそっと目を閉じ、そうだ、「真菜」だと思い出す。自分の名前を口にしたときの彼女を思い出すと、すこしむず痒い気持ちになった。お互いに一歩関係が近づいた気がしてしまったから。
気づけば今日の彼女を思い返してばかりだった気がする。雨に濡れた姿、名前を言うときのはにかむ様子、別れ際に手を振るときの表情。全部脳裏に浮かべた。
最後に、「真菜」という名前をもう一度思い出し、もう忘れたくないなと思いながら眠りに落ちた。

《第六話 B》(筆者 如月 肇)
目覚めは、ハムエッグの優しい香りによってもたらされた。
ミステリー小説を読んだ翌日にしては、
「あぁ、良く眠れたな…」
食卓に付く。
ブロッコリーの鮮やかな緑が、食へと導く。
「真菜か…」夕辺の出来ごと。

《第七話 A》(筆者 如月 肇)
雨上がりの翌朝は、高校三年生最後の体育祭だった。
「真菜は、確か卓球だったな…」
アキラは心うちで呟いた。
俺は綱引きと、バスケットボール。
アキラのクラスは高一の時から綱引きだけは強いのだ。
全学年15クラス対抗の体育祭。

体育祭、それは1年生の時のこと。
真菜が知る由もない。
全学年対抗戦の大会は、全員種目と個別種目に別れる。
綱引きはクラス35名が全員で縄を引く。
なんと1年4組は優勝したのである。
さて、バスケットボールは…
惜しくも2位に終わって、涙した記憶。

《第八話 A》(筆者 如月 肇)
悔しさは、バネを産む。
アキラたち4組バスケットボールチームは、5人中4人が中学時代のバスケ部出身者。
2年生の時は決勝戦で3年生に破れ、迎えた朝の体育祭でようやく優勝した。
相手は、2年生。
同点でホイスル。
チーム5人によるフリースロー。
最後に決めたのは、バスケット未経験者のマモルだった。
体育館に鳴り響く「キャー」の声。
2階席を見やると、他ならない「真菜」の声だった。
「真菜」は、卓球の名手。中学生の時に全国大会出場の経験を持つ。「キャー」の叫び声とは似つかわない沈着冷静なラケット捌きが威光を放つ。
彼女のクラスは、卓球種目で優勝を果たし、バスケットの観戦に来ていたらしい。


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【青春小説】春色の思い出とともに《第七話 A》

雨上がりの翌朝は、高校三年生最後の体育祭だった。
「真菜は、確か卓球だったな…」
アキラは心うちで呟いた。
俺は綱引きと、バスケットボール。
アキラのクラスは高一の時から綱引きだけは強いのだ。
全学年15クラス対抗の体育祭。

体育祭、それは1年生の時のこと。
真菜が知る由もない。
全学年対抗戦の大会は、全員種目と個別種目に別れる。
綱引きはクラス35名が全員で縄を引く。
なんと1年4組は優勝したのである。
さて、バスケットボールは…
惜しくも2位に終わって、涙した記憶。

筆者 如月 肇



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《第一話》(筆者 矢田川いつき)
「アキー! 一緒に帰ろー!」
放課後のチャイムと同時に、猪の如く向かってくる影がひとつ。
しかし俺は、それを華麗なステップでかわす。
「甘い!」
「わー! 避けないでー!」
ドシーン、と音を立てそうな勢いで彼女が転びそうになる……が、受け止めるまでが俺の役目。
「大丈夫か、真菜?」
「ありがと……って、誰のせいだと!」
「ハハハ」
何気ない、いつもの日常。
ずっと続くと、思ってた。
「帰るか」
「うん!」
俺らはもう……高校3年生だ。

《第二話 A》(筆者 ハニービースト)
俺と真菜が出会ったのは高校1年の夏。暑い日だった。
学校帰りにバス停に向かう途中、急な夕立ちに見舞われ折りたたみ傘を出すと…
「すみません!その傘、一緒に入れて下さい!」と急に女の子が少しぶつかり気味に入ってきた。
「おーっとっと…えっ!なに?」
「今日、雨の予報なんてなかったよね。あーこんなに濡れちゃったー」
「あっ、このハンカチ使います?」
「ありがとう……これって相合い傘ですよねー。少しドキドキしますね。しませんか?」
「いや、まあー」
「いつもバスで本読んでますよね!どんな本を読んでるんですか?」
「いや、まあー……」

それが真菜と俺の最初の出会いだった。

《第三話 C》(筆者 恒李)
傘で覆われる空間は一種のパーソナルスペースだと考えている。そこへ名前も知らない人がいきなり侵入してくるわけだ。普通は嫌悪感を抱くだろう。しかしその悪意の無い強引さと笑顔に負け、このくらいいいかと寛容になる。

「今日は本読まないの?」
バスまでの道のりで同じ学年であることを知り、敬語が外れた口調で覗き込むように訊いてくる。座る気のなかった二人席に腰掛けてるから距離が近い。
「もうぜんぶ読み終わったし、新しいの買おうと思う」
「へぇ、じゃあ今日はお喋りできるね」
横を見ると、目を細めて柔らかく笑うその子がいた。雨に濡れ、いくつもの小さな束を作る前髪が、その笑顔のアクセントになっているように思えた。

《第四話 E》(筆者 ハザマ)
そんな屈託のない彼女の笑顔に、見惚れてしまっている自分がいた。
「ん?何かついてる?」
思わずスマホの画面に自分の顔を写して確認する彼女。
「あ、いや、濡れて寒くないかなって思って」
俺は見惚れていたことをごまかすために、とっさの一言を放った。
「心配してくれてる?キミが傘に入れてくれたから大丈夫だよ」
ごまかせてはいたようだが、ニコニコと喋る彼女と、席の近さも相まって俺は何だか気が気じゃない。
「ねえ、何組なの?あたしは3組」
「俺は1組」
「じゃあ担任市川先生でしょ?いいなー」
「何で?」
「だって市川先生優しそうじゃん。うちの太田なんて体育会系なもんだから暑苦しくて」
「ああ、確かに、いろいろとアツい人だよな太田先生は」
どぎまぎしながらも、他愛のない世間話をしている内に俺が降りるバス停に到着した。
「じゃあ、俺ここで降りるから」
「あ!待って!」
「ん?」
「名前、教えて」
「俺の?」
「そう。あたしは真菜」
「俺は、秋。秋って書いて『あきら』って読む」
「あきらくん、あきらくんだね。うん、覚えた、ありがと」
なぜか嬉しそうな彼女に手を振られ、俺も手を小さく振りながらバスを降りた。

《第五話 C》(筆者 恒李)
途中で書店に寄って次に読もうと思ってたミステリー小説を買い、自宅へと帰った。だらだらと過ごして寝床につく前、あの女の子のことを思い出した。
名前、なんだったけと思いながらそっと目を閉じ、そうだ、「真菜」だと思い出す。自分の名前を口にしたときの彼女を思い出すと、すこしむず痒い気持ちになった。お互いに一歩関係が近づいた気がしてしまったから。
気づけば今日の彼女を思い返してばかりだった気がする。雨に濡れた姿、名前を言うときのはにかむ様子、別れ際に手を振るときの表情。全部脳裏に浮かべた。
最後に、「真菜」という名前をもう一度思い出し、もう忘れたくないなと思いながら眠りに落ちた。

《第六話 B》(筆者 如月 肇)
目覚めは、ハムエッグの優しい香りによってもたらされた。
ミステリー小説を読んだ翌日にしては、
「あぁ、良く眠れたな…」
食卓に付く。
ブロッコリーの鮮やかな緑が、食へと導く。
「真菜か…」夕辺の出来ごと。

《第七話 A》(筆者 如月 肇)
雨上がりの翌朝は、高校三年生最後の体育祭だった。
「真菜は、確か卓球だったな…」
アキラは心うちで呟いた。
俺は綱引きと、バスケットボール。
アキラのクラスは高一の時から綱引きだけは強いのだ。
全学年15クラス対抗の体育祭。

体育祭、それは1年生の時のこと。
真菜が知る由もない。
全学年対抗戦の大会は、全員種目と個別種目に別れる。
綱引きはクラス35名が全員で縄を引く。
なんと1年4組は優勝したのである。
さて、バスケットボールは…
惜しくも2位に終わって、涙した記憶。


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目覚めは、ハムエッグの優しい香りによってもたらされた。
ミステリー小説を読んだ翌日にしては、
「あぁ、良く眠れたな…」
食卓に付く。
ブロッコリーの鮮やかな緑が、食へと導く。
「真菜か…」夕辺の出来ごと。

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《第一話》(筆者 矢田川いつき)
「アキー! 一緒に帰ろー!」
放課後のチャイムと同時に、猪の如く向かってくる影がひとつ。
しかし俺は、それを華麗なステップでかわす。
「甘い!」
「わー! 避けないでー!」
ドシーン、と音を立てそうな勢いで彼女が転びそうになる……が、受け止めるまでが俺の役目。
「大丈夫か、真菜?」
「ありがと……って、誰のせいだと!」
「ハハハ」
何気ない、いつもの日常。
ずっと続くと、思ってた。
「帰るか」
「うん!」
俺らはもう……高校3年生だ。

《第二話 A》(筆者 ハニービースト)
俺と真菜が出会ったのは高校1年の夏。暑い日だった。
学校帰りにバス停に向かう途中、急な夕立ちに見舞われ折りたたみ傘を出すと…
「すみません!その傘、一緒に入れて下さい!」と急に女の子が少しぶつかり気味に入ってきた。
「おーっとっと…えっ!なに?」
「今日、雨の予報なんてなかったよね。あーこんなに濡れちゃったー」
「あっ、このハンカチ使います?」
「ありがとう……これって相合い傘ですよねー。少しドキドキしますね。しませんか?」
「いや、まあー」
「いつもバスで本読んでますよね!どんな本を読んでるんですか?」
「いや、まあー……」

それが真菜と俺の最初の出会いだった。

《第三話 C》(筆者 恒李)
傘で覆われる空間は一種のパーソナルスペースだと考えている。そこへ名前も知らない人がいきなり侵入してくるわけだ。普通は嫌悪感を抱くだろう。しかしその悪意の無い強引さと笑顔に負け、このくらいいいかと寛容になる。

「今日は本読まないの?」
バスまでの道のりで同じ学年であることを知り、敬語が外れた口調で覗き込むように訊いてくる。座る気のなかった二人席に腰掛けてるから距離が近い。
「もうぜんぶ読み終わったし、新しいの買おうと思う」
「へぇ、じゃあ今日はお喋りできるね」
横を見ると、目を細めて柔らかく笑うその子がいた。雨に濡れ、いくつもの小さな束を作る前髪が、その笑顔のアクセントになっているように思えた。

《第四話 E》(筆者 ハザマ)
そんな屈託のない彼女の笑顔に、見惚れてしまっている自分がいた。
「ん?何かついてる?」
思わずスマホの画面に自分の顔を写して確認する彼女。
「あ、いや、濡れて寒くないかなって思って」
俺は見惚れていたことをごまかすために、とっさの一言を放った。
「心配してくれてる?キミが傘に入れてくれたから大丈夫だよ」
ごまかせてはいたようだが、ニコニコと喋る彼女と、席の近さも相まって俺は何だか気が気じゃない。
「ねえ、何組なの?あたしは3組」
「俺は1組」
「じゃあ担任市川先生でしょ?いいなー」
「何で?」
「だって市川先生優しそうじゃん。うちの太田なんて体育会系なもんだから暑苦しくて」
「ああ、確かに、いろいろとアツい人だよな太田先生は」
どぎまぎしながらも、他愛のない世間話をしている内に俺が降りるバス停に到着した。
「じゃあ、俺ここで降りるから」
「あ!待って!」
「ん?」
「名前、教えて」
「俺の?」
「そう。あたしは真菜」
「俺は、秋。秋って書いて『あきら』って読む」
「あきらくん、あきらくんだね。うん、覚えた、ありがと」
なぜか嬉しそうな彼女に手を振られ、俺も手を小さく振りながらバスを降りた。

《第五話 C》(筆者 恒李)
途中で書店に寄って次に読もうと思ってたミステリー小説を買い、自宅へと帰った。だらだらと過ごして寝床につく前、あの女の子のことを思い出した。
名前、なんだったけと思いながらそっと目を閉じ、そうだ、「真菜」だと思い出す。自分の名前を口にしたときの彼女を思い出すと、すこしむず痒い気持ちになった。お互いに一歩関係が近づいた気がしてしまったから。
気づけば今日の彼女を思い返してばかりだった気がする。雨に濡れた姿、名前を言うときのはにかむ様子、別れ際に手を振るときの表情。全部脳裏に浮かべた。
最後に、「真菜」という名前をもう一度思い出し、もう忘れたくないなと思いながら眠りに落ちた。

《第六話 B》(筆者 如月 肇)
目覚めは、ハムエッグの優しい香りによってもたらされた。
ミステリー小説を読んだ翌日にしては、
「あぁ、良く眠れたな…」
食卓に付く。
ブロッコリーの鮮やかな緑が、食へと導く。
「真菜か…」夕辺の出来ごと。


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【青春小説】春色の思い出とともに《第五話 C》


途中で書店に寄って次に読もうと思ってたミステリー小説を買い、自宅へと帰った。だらだらと過ごして寝床につく前、あの女の子のことを思い出した。
名前、なんだったけと思いながらそっと目を閉じ、そうだ、「真菜」だと思い出す。自分の名前を口にしたときの彼女を思い出すと、すこしむず痒い気持ちになった。お互いに一歩関係が近づいた気がしてしまったから。
気づけば今日の彼女を思い返してばかりだった気がする。雨に濡れた姿、名前を言うときのはにかむ様子、別れ際に手を振るときの表情。全部脳裏に浮かべた。
最後に、「真菜」という名前をもう一度思い出し、もう忘れたくないなと思いながら眠りに落ちた。

筆者 恒李



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《第一話》(筆者 矢田川いつき)
「アキー! 一緒に帰ろー!」
放課後のチャイムと同時に、猪の如く向かってくる影がひとつ。
しかし俺は、それを華麗なステップでかわす。
「甘い!」
「わー! 避けないでー!」
ドシーン、と音を立てそうな勢いで彼女が転びそうになる……が、受け止めるまでが俺の役目。
「大丈夫か、真菜?」
「ありがと……って、誰のせいだと!」
「ハハハ」
何気ない、いつもの日常。
ずっと続くと、思ってた。
「帰るか」
「うん!」
俺らはもう……高校3年生だ。

《第二話 A》(筆者 ハニービースト)
俺と真菜が出会ったのは高校1年の夏。暑い日だった。
学校帰りにバス停に向かう途中、急な夕立ちに見舞われ折りたたみ傘を出すと…
「すみません!その傘、一緒に入れて下さい!」と急に女の子が少しぶつかり気味に入ってきた。
「おーっとっと…えっ!なに?」
「今日、雨の予報なんてなかったよね。あーこんなに濡れちゃったー」
「あっ、このハンカチ使います?」
「ありがとう……これって相合い傘ですよねー。少しドキドキしますね。しませんか?」
「いや、まあー」
「いつもバスで本読んでますよね!どんな本を読んでるんですか?」
「いや、まあー……」

それが真菜と俺の最初の出会いだった。

《第三話 C》(筆者 恒李)
傘で覆われる空間は一種のパーソナルスペースだと考えている。そこへ名前も知らない人がいきなり侵入してくるわけだ。普通は嫌悪感を抱くだろう。しかしその悪意の無い強引さと笑顔に負け、このくらいいいかと寛容になる。

「今日は本読まないの?」
バスまでの道のりで同じ学年であることを知り、敬語が外れた口調で覗き込むように訊いてくる。座る気のなかった二人席に腰掛けてるから距離が近い。
「もうぜんぶ読み終わったし、新しいの買おうと思う」
「へぇ、じゃあ今日はお喋りできるね」
横を見ると、目を細めて柔らかく笑うその子がいた。雨に濡れ、いくつもの小さな束を作る前髪が、その笑顔のアクセントになっているように思えた。

《第四話 E》(筆者 ハザマ)
そんな屈託のない彼女の笑顔に、見惚れてしまっている自分がいた。
「ん?何かついてる?」
思わずスマホの画面に自分の顔を写して確認する彼女。
「あ、いや、濡れて寒くないかなって思って」
俺は見惚れていたことをごまかすために、とっさの一言を放った。
「心配してくれてる?キミが傘に入れてくれたから大丈夫だよ」
ごまかせてはいたようだが、ニコニコと喋る彼女と、席の近さも相まって俺は何だか気が気じゃない。
「ねえ、何組なの?あたしは3組」
「俺は1組」
「じゃあ担任市川先生でしょ?いいなー」
「何で?」
「だって市川先生優しそうじゃん。うちの太田なんて体育会系なもんだから暑苦しくて」
「ああ、確かに、いろいろとアツい人だよな太田先生は」
どぎまぎしながらも、他愛のない世間話をしている内に俺が降りるバス停に到着した。
「じゃあ、俺ここで降りるから」
「あ!待って!」
「ん?」
「名前、教えて」
「俺の?」
「そう。あたしは真菜」
「俺は、秋。秋って書いて『あきら』って読む」
「あきらくん、あきらくんだね。うん、覚えた、ありがと」
なぜか嬉しそうな彼女に手を振られ、俺も手を小さく振りながらバスを降りた。

《第五話 C》(筆者 恒李)
途中で書店に寄って次に読もうと思ってたミステリー小説を買い、自宅へと帰った。だらだらと過ごして寝床につく前、あの女の子のことを思い出した。
名前、なんだったけと思いながらそっと目を閉じ、そうだ、「真菜」だと思い出す。自分の名前を口にしたときの彼女を思い出すと、すこしむず痒い気持ちになった。お互いに一歩関係が近づいた気がしてしまったから。
気づけば今日の彼女を思い返してばかりだった気がする。雨に濡れた姿、名前を言うときのはにかむ様子、別れ際に手を振るときの表情。全部脳裏に浮かべた。
最後に、「真菜」という名前をもう一度思い出し、もう忘れたくないなと思いながら眠りに落ちた。


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未来から来た女の子《第十話 A》

「冷たいっ!」
肩が氷付くとともに氷魔法の波動が沙織の内側に伝わってくる。
なるほど。
その瞬間、沙織は魔法の使い方を理解した。

「でも、ルカ。海に浮かぶ氷塊をいくら凍らせても、結局は海に浮かんでるだけで海面は下がらない。それでは何の解決にもならないわ。やるなら、地上を凍らせないと。ルカってば何でも知っているようで、そうでもないのね。」
さっきから全てを勝手に進めるルカに少しイラっとするところがあったが、おっちょこちょいのところもあると分かり少し好感がもてた。

筆者 崖淵



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【ここまでのストーリー】

《第一話》 (筆者 Saki)
「ごめんね…、うち今、厳しくて。」
3年勤めたファミレスは、そんな言葉であっさり解雇された。

小野沙織、28歳。
これからどうしよう。
私って何にもないんだよな…

都心から電車で30分。
大田区蒲田にある古いワンルームマンション。

私はここでずっと一人なんだろうか…
二階の部屋を見上げた。
あれ?明かりがついてる。 
急いで階段を上がった。

「あ、お邪魔してます!」
ドアを開けると小さな女の子がベットからぴょこんと立ち上がった。

「私、ルカといいます。遠い未来から来ました。」

《第二話 A》(筆者 Kuuugle)
「あなたは私なんです」
「え!?私?」急に何を言い出すんだろうと沙織は思った。
聞けば、ルカにとって私は前々々世の自分だそうで、どうも今の私がテキトーに生きてるから、来世になるごとに家庭環境が悪化しているらしい。
その状況を何とか変えたいと私のところにやって来たようだ。

《第三話A》(筆者 虹若丸)
「まずはこの散らかり放題の汚い部屋を何とかしなくちゃね・・・。」
ルカは半ば呆れたような声で言った・・・。
「勝手に人の家に上がり込んでおいて、何言うのよ!」
私はすかさず反論した。
「家庭環境の悪化を変えるには、まず身近なところから綺麗にして、運の流れを変えることが重要なのよ!」
ルカも負けてはいない!

《第四話A》(筆者 パチビードク)
「放っといてよ!私、きょう仕事クビになってイライラしてるのよ!そもそもどうやって私の部屋に入ったの?
第一、私の何を変えようということ!」いっきにまくしたて沙織は言った。
「少し落ち着いて下さい!そういう性格や部屋も片づけずテキトーにやっていることが、人生ダメにしてるんです。」
「どうゆうこと?」
「まず、部屋を片づけましょう。」
ルカは大きな箱を取り出して床に放り出されている物を、かたっぱしから箱へ入れた。

《第五話A》(筆者 だしき)
部屋の物がどんどん無くなって行く。ゴミだけではない、本、食器、棚、ついにはベッドまで。
「ドラえもんのポケットのような箱!さすがは未来から来た子だわ。」と半ば感心しながら見ていた沙織だったが、部屋の中が空っぽになると、
「何をやってんの!これじゃ暮らせないじゃない!」
「さあ、行きますよ。」
「どこへ?」
「引っ越しです。」
そういうとルカはさっさと部屋を出て行った。
「ちょっと待ちなさいよ!」

《第六話 A》(筆者 ウナギ)
待ってと止めても聞かないと言うようにルカの小さな背中は早足でどんどんと遠のいていくばかり。
これが本当に子供の歩くスピードなのだろうか。
「引っ越すんだったらマンションも解約しないといけなきゃだし、転居手続きだって…」
「引っ越しと言っても転居はしません。マンションの解約もしません。」ルカはすんなりと転居を否定する。
「えぇ!!!じゃあ一体どういうこと!?」「行くんですよ。」
「どこに?」「未来ですよ。」
「はあ?!?!?!?」
私、未来に行かされるの????

《第七話 A》(筆者 sauna)
「ちょっと待ちなさいルカ!未来ってどういう事なの!」
そう言うと沙織はルカの手を掴んだ。
ルカは顔色一つ変えずに「沙織、そのまま私の手を離さずに目を瞑って!」と自身も目を閉じる。
「ちょっと・・・」沙織は子供に呼び捨てにされ内心イラっとしながらも、手を掴んだまま静かに目を瞑った。
すると不思議な光に包まれ一瞬気を失いそうになる。
ルカの冷たい手の感触が沙織の掌に伝わる。ハッとした沙織はルカの手を離すと同時に一気に目を見開いた。
二人を包んでいた光が徐々に消えていき、徐々に視界が晴れて行く。
「えっ、ここは自宅マンション前の道路だったハズ・・・」
沙織が辺りを見渡すと眼前には広大な海が広がっていた。

《第八話 A》(筆者 ハザマ)
「わぷっ!」
海に放り出された私は、沈まないように必死にもがいた。
「待ってルカ!私そんなに泳ぎ上手くない!」
ルカの方を見ると…
「何で浮いてるの!?」
「待ってください、今助けますね」
ルカの手が光ったと思うと、私は徐々に宙に浮いていく。そしてなぜか濡れたはずの髪の毛や服も乾いていく。
なにこれ、魔法?
「どうして急に海に出たの…?さっきまでマンションの前だったのに」
「沙織さんのマンションは、この時代では海になっているってことですよ」
「え?私の住んでるところ、海に沈んでるってこと?」
「説明すると長くなるので、とりあえず陸地に移動しましょう」
そう言うとルカと私は、海の上を浮いたまま動き出した。
私は何もしていないので、どうやらルカが動かしているらしい。
数十分で、私たちはようやく足がつける陸地にたどり着いた。

《第九話 A》(筆者 sauna)
「さてと・・・」
そう呟くとルカが魔法を解いた。
ふわっと地に降り立った二人。
「ドンッ」鈍い音が響いた。沙織が足をついた瞬間、足を滑らせ尻餅をついてしまったのである。
「冷たっ、ていうかここって・・・」
沙織が驚いた表情で立ち上がれずにいる。二人が降り立ったのは陸地ではなく、海に浮かぶ巨大な氷塊であった。
ルカは沙織を見下ろしながら呟く。
「今日から沙織には氷の魔法を覚えてもらうね。未来では北極も南極も全部溶けちゃったの、だから魔法で海を凍らせているんだけど、私一人じゃこれが精一杯。だから沙織にも手伝って欲しいの」
沙織が立ち上がってルカの肩を掴む。
「魔法って!そんなの私使えないわよ!」
無表情のままルカの瞳が怪しく光る。
「きっかけはもう与えたよ」
その瞬間、沙織が掴んでいたルカの肩が凍り始めた・・・

《第十話 A》(筆者 崖淵)
「冷たいっ!」
肩が氷付くとともに氷魔法の波動が沙織の内側に伝わってくる。
なるほど。
その瞬間、沙織は魔法の使い方を理解した。

「でも、ルカ。海に浮かぶ氷塊をいくら凍らせても、結局は海に浮かんでるだけで海面は下がらない。それでは何の解決にもならないわ。やるなら、地上を凍らせないと。ルカってば何でも知っているようで、そうでもないのね。」
さっきから全てを勝手に進めるルカに少しイラっとするところがあったが、おっちょこちょいのところもあると分かり少し好感がもてた。


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未来から来た女の子《第九話 A》

「さてと・・・」
そう呟くとルカが魔法を解いた。
ふわっと地に降り立った二人。
「ドンッ」鈍い音が響いた。沙織が足をついた瞬間、足を滑らせ尻餅をついてしまったのである。
「冷たっ、ていうかここって・・・」
沙織が驚いた表情で立ち上がれずにいる。二人が降り立ったのは陸地ではなく、海に浮かぶ巨大な氷塊であった。
ルカは沙織を見下ろしながら呟く。
「今日から沙織には氷の魔法を覚えてもらうね。未来では北極も南極も全部溶けちゃったの、だから魔法で海を凍らせているんだけど、私一人じゃこれが精一杯。だから沙織にも手伝って欲しいの」
沙織が立ち上がってルカの肩を掴む。
「魔法って!そんなの私使えないわよ!」
無表情のままルカの瞳が怪しく光る。
「きっかけはもう与えたよ」
その瞬間、沙織が掴んでいたルカの肩が凍り始めた・・・

筆者 sauna



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【ここまでのストーリー】

《第一話》 (筆者 Saki)
「ごめんね…、うち今、厳しくて。」
3年勤めたファミレスは、そんな言葉であっさり解雇された。

小野沙織、28歳。
これからどうしよう。
私って何にもないんだよな…

都心から電車で30分。
大田区蒲田にある古いワンルームマンション。

私はここでずっと一人なんだろうか…
二階の部屋を見上げた。
あれ?明かりがついてる。 
急いで階段を上がった。

「あ、お邪魔してます!」
ドアを開けると小さな女の子がベットからぴょこんと立ち上がった。

「私、ルカといいます。遠い未来から来ました。」

《第二話 A》(筆者 Kuuugle)
「あなたは私なんです」
「え!?私?」急に何を言い出すんだろうと沙織は思った。
聞けば、ルカにとって私は前々々世の自分だそうで、どうも今の私がテキトーに生きてるから、来世になるごとに家庭環境が悪化しているらしい。
その状況を何とか変えたいと私のところにやって来たようだ。

《第三話A》(筆者 虹若丸)
「まずはこの散らかり放題の汚い部屋を何とかしなくちゃね・・・。」
ルカは半ば呆れたような声で言った・・・。
「勝手に人の家に上がり込んでおいて、何言うのよ!」
私はすかさず反論した。
「家庭環境の悪化を変えるには、まず身近なところから綺麗にして、運の流れを変えることが重要なのよ!」
ルカも負けてはいない!

《第四話A》(筆者 パチビードク)
「放っといてよ!私、きょう仕事クビになってイライラしてるのよ!そもそもどうやって私の部屋に入ったの?
第一、私の何を変えようということ!」いっきにまくしたて沙織は言った。
「少し落ち着いて下さい!そういう性格や部屋も片づけずテキトーにやっていることが、人生ダメにしてるんです。」
「どうゆうこと?」
「まず、部屋を片づけましょう。」
ルカは大きな箱を取り出して床に放り出されている物を、かたっぱしから箱へ入れた。

《第五話A》(筆者 だしき)
部屋の物がどんどん無くなって行く。ゴミだけではない、本、食器、棚、ついにはベッドまで。
「ドラえもんのポケットのような箱!さすがは未来から来た子だわ。」と半ば感心しながら見ていた沙織だったが、部屋の中が空っぽになると、
「何をやってんの!これじゃ暮らせないじゃない!」
「さあ、行きますよ。」
「どこへ?」
「引っ越しです。」
そういうとルカはさっさと部屋を出て行った。
「ちょっと待ちなさいよ!」

《第六話 A》(筆者 ウナギ)
待ってと止めても聞かないと言うようにルカの小さな背中は早足でどんどんと遠のいていくばかり。
これが本当に子供の歩くスピードなのだろうか。
「引っ越すんだったらマンションも解約しないといけなきゃだし、転居手続きだって…」
「引っ越しと言っても転居はしません。マンションの解約もしません。」ルカはすんなりと転居を否定する。
「えぇ!!!じゃあ一体どういうこと!?」「行くんですよ。」
「どこに?」「未来ですよ。」
「はあ?!?!?!?」
私、未来に行かされるの????

《第七話 A》(筆者 sauna)
「ちょっと待ちなさいルカ!未来ってどういう事なの!」
そう言うと沙織はルカの手を掴んだ。
ルカは顔色一つ変えずに「沙織、そのまま私の手を離さずに目を瞑って!」と自身も目を閉じる。
「ちょっと・・・」沙織は子供に呼び捨てにされ内心イラっとしながらも、手を掴んだまま静かに目を瞑った。
すると不思議な光に包まれ一瞬気を失いそうになる。
ルカの冷たい手の感触が沙織の掌に伝わる。ハッとした沙織はルカの手を離すと同時に一気に目を見開いた。
二人を包んでいた光が徐々に消えていき、徐々に視界が晴れて行く。
「えっ、ここは自宅マンション前の道路だったハズ・・・」
沙織が辺りを見渡すと眼前には広大な海が広がっていた。

《第八話 A》(筆者 ハザマ)
「わぷっ!」
海に放り出された私は、沈まないように必死にもがいた。
「待ってルカ!私そんなに泳ぎ上手くない!」
ルカの方を見ると…
「何で浮いてるの!?」
「待ってください、今助けますね」
ルカの手が光ったと思うと、私は徐々に宙に浮いていく。そしてなぜか濡れたはずの髪の毛や服も乾いていく。
なにこれ、魔法?
「どうして急に海に出たの…?さっきまでマンションの前だったのに」
「沙織さんのマンションは、この時代では海になっているってことですよ」
「え?私の住んでるところ、海に沈んでるってこと?」
「説明すると長くなるので、とりあえず陸地に移動しましょう」
そう言うとルカと私は、海の上を浮いたまま動き出した。
私は何もしていないので、どうやらルカが動かしているらしい。
数十分で、私たちはようやく足がつける陸地にたどり着いた。

《第九話 A》(筆者 sauna)
「さてと・・・」
そう呟くとルカが魔法を解いた。
ふわっと地に降り立った二人。
「ドンッ」鈍い音が響いた。沙織が足をついた瞬間、足を滑らせ尻餅をついてしまったのである。
「冷たっ、ていうかここって・・・」
沙織が驚いた表情で立ち上がれずにいる。二人が降り立ったのは陸地ではなく、海に浮かぶ巨大な氷塊であった。
ルカは沙織を見下ろしながら呟く。
「今日から沙織には氷の魔法を覚えてもらうね。未来では北極も南極も全部溶けちゃったの、だから魔法で海を凍らせているんだけど、私一人じゃこれが精一杯。だから沙織にも手伝って欲しいの」
沙織が立ち上がってルカの肩を掴む。
「魔法って!そんなの私使えないわよ!」
無表情のままルカの瞳が怪しく光る。
「きっかけはもう与えたよ」
その瞬間、沙織が掴んでいたルカの肩が凍り始めた・・・


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デリバリー物語《第二話 C》

ピンポーン お届け物でーす!
いつものように仕事をこなす。
出てきたのは、やけに暗い顔の男だった。
「・・・ああ、そこに置いておいてください。」
無愛想な奴だ。
箱を置こうとすると、手がすべってしまい、荷物が転がり落ちた。
箱が少しだけ破れて、穴が空いた。
それを見た男が、オリンピック選手もかくやというほどの凄まじい速さで箱を拾った。
「何をするんだ!」
男がものすごい剣幕で怒ってきたが、もはや私の耳には入ってこなかった。
ーーー紅く染まった目が、穴から覗いていたからだ。
「・・・何だ?」
そんな私の反応に、男が眉を顰(しか)めた。
「まさか・・・見たな?」
男の目も、紅く光った。
ここにいるのも恐ろしく、さっさと退散しようとしたーーー。

某月某日。
『えー、続いてのニュースです。○○県××市の住宅において、一人の男性の遺体が発見されました。この男性は○○宅急便の制服を着ており、警察は、配達先の住宅で殺害されたとみてーーー』

筆者 あんぱん




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【ここまでのストーリー】

《第一話》(筆者 空志郎)
ピンポーン!こんばんは、ヤマト運輸です。お荷物お届けに参りました。
ピンポーン!ヨドバシドットコムです。
ピンポーン!アマゾンドットコムです。
ピンポーン!ウーバーイーツです。
ピンポーン!出前館です。
このタワーマンションはいつもこの時間、入口が混雑する。せっかく早く着いてもなかなか順番が回ってこない。
・・・・そしてようやくボクの番。ピンポーン!こんばんは、ウーバーイーツです。テイクアウトの品をお届けに参りました。・・・・「ありがとうございました」「またよろしくお願いします」。
今日のお客はラッキーだった。この分なら今回も高評価は間違いなし。うまく行けば高いチップもゲットできるかもしれない。でも今日の奥さんは少し様子が暗かった。顔の左側を見せないようにしてた感じもした。どうしたんだろう?ふと新一の頭をよぎったが、今日は時間がまだ早いので、新一は気にせずもう1件デリバリーをこなそうと決めた。
外に出ると、雨が降り始めていた。雨雲レーダーをチェックすると、雨雲は小さいが、断続的にやってくる予報だった。今日はもう店じまいにしよう。新一は自宅に帰ろうと決めた。

《第二話 C》(筆者 あんぱん)
ピンポーン お届け物でーす!
いつものように仕事をこなす。
出てきたのは、やけに暗い顔の男だった。
「・・・ああ、そこに置いておいてください。」
無愛想な奴だ。
箱を置こうとすると、手がすべってしまい、荷物が転がり落ちた。
箱が少しだけ破れて、穴が空いた。
それを見た男が、オリンピック選手もかくやというほどの凄まじい速さで箱を拾った。
「何をするんだ!」
男がものすごい剣幕で怒ってきたが、もはや私の耳には入ってこなかった。
ーーー紅く染まった目が、穴から覗いていたからだ。
「・・・何だ?」
そんな私の反応に、男が眉を顰(しか)めた。
「まさか・・・見たな?」
男の目も、紅く光った。
ここにいるのも恐ろしく、さっさと退散しようとしたーーー。

某月某日。
『えー、続いてのニュースです。○○県××市の住宅において、一人の男性の遺体が発見されました。この男性は○○宅急便の制服を着ており、警察は、配達先の住宅で殺害されたとみてーーー』


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みんなで繋ぐ物語(RWY)《第二話 C》

ポチは真っ白な犬でした。尾も白いんです。

筆者 春秋花壇



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【ここまでのストーリー】

《第一話》(筆者 虹若丸)
昔、昔、あるところにおじいさんとおばあさんとポチが住んでいました!
ある日、おじいさんは海へ釣りに出かけました・・・。

《第二話 C》(筆者 春秋花壇)
ポチは真っ白な犬でした。尾も白いんです。


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【青春小説】春色の思い出とともに《第四話 E》

そんな屈託のない彼女の笑顔に、見惚れてしまっている自分がいた。
「ん?何かついてる?」
思わずスマホの画面に自分の顔を写して確認する彼女。
「あ、いや、濡れて寒くないかなって思って」
俺は見惚れていたことをごまかすために、とっさの一言を放った。
「心配してくれてる?キミが傘に入れてくれたから大丈夫だよ」
ごまかせてはいたようだが、ニコニコと喋る彼女と、席の近さも相まって俺は何だか気が気じゃない。
「ねえ、何組なの?あたしは3組」
「俺は1組」
「じゃあ担任市川先生でしょ?いいなー」
「何で?」
「だって市川先生優しそうじゃん。うちの太田なんて体育会系なもんだから暑苦しくて」
「ああ、確かに、いろいろとアツい人だよな太田先生は」
どぎまぎしながらも、他愛のない世間話をしている内に俺が降りるバス停に到着した。
「じゃあ、俺ここで降りるから」
「あ!待って!」
「ん?」
「名前、教えて」
「俺の?」
「そう。あたしは真菜」
「俺は、秋。秋って書いて『あきら』って読む」
「あきらくん、あきらくんだね。うん、覚えた、ありがと」
なぜか嬉しそうな彼女に手を振られ、俺も手を小さく振りながらバスを降りた。

筆者 ハザマ



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【ここまでのストーリー】

《第一話》(筆者 矢田川いつき)
「アキー! 一緒に帰ろー!」
放課後のチャイムと同時に、猪の如く向かってくる影がひとつ。
しかし俺は、それを華麗なステップでかわす。
「甘い!」
「わー! 避けないでー!」
ドシーン、と音を立てそうな勢いで彼女が転びそうになる……が、受け止めるまでが俺の役目。
「大丈夫か、真菜?」
「ありがと……って、誰のせいだと!」
「ハハハ」
何気ない、いつもの日常。
ずっと続くと、思ってた。
「帰るか」
「うん!」
俺らはもう……高校3年生だ。

《第二話 A》(筆者 ハニービースト)
俺と真菜が出会ったのは高校1年の夏。暑い日だった。
学校帰りにバス停に向かう途中、急な夕立ちに見舞われ折りたたみ傘を出すと…
「すみません!その傘、一緒に入れて下さい!」と急に女の子が少しぶつかり気味に入ってきた。
「おーっとっと…えっ!なに?」
「今日、雨の予報なんてなかったよね。あーこんなに濡れちゃったー」
「あっ、このハンカチ使います?」
「ありがとう……これって相合い傘ですよねー。少しドキドキしますね。しませんか?」
「いや、まあー」
「いつもバスで本読んでますよね!どんな本を読んでるんですか?」
「いや、まあー……」

それが真菜と俺の最初の出会いだった。

《第三話 C》(筆者 恒李)
傘で覆われる空間は一種のパーソナルスペースだと考えている。そこへ名前も知らない人がいきなり侵入してくるわけだ。普通は嫌悪感を抱くだろう。しかしその悪意の無い強引さと笑顔に負け、このくらいいいかと寛容になる。

「今日は本読まないの?」
バスまでの道のりで同じ学年であることを知り、敬語が外れた口調で覗き込むように訊いてくる。座る気のなかった二人席に腰掛けてるから距離が近い。
「もうぜんぶ読み終わったし、新しいの買おうと思う」
「へぇ、じゃあ今日はお喋りできるね」
横を見ると、目を細めて柔らかく笑うその子がいた。雨に濡れ、いくつもの小さな束を作る前髪が、その笑顔のアクセントになっているように思えた。

《第四話 E》(筆者 ハザマ)
そんな屈託のない彼女の笑顔に、見惚れてしまっている自分がいた。
「ん?何かついてる?」
思わずスマホの画面に自分の顔を写して確認する彼女。
「あ、いや、濡れて寒くないかなって思って」
俺は見惚れていたことをごまかすために、とっさの一言を放った。
「心配してくれてる?キミが傘に入れてくれたから大丈夫だよ」
ごまかせてはいたようだが、ニコニコと喋る彼女と、席の近さも相まって俺は何だか気が気じゃない。
「ねえ、何組なの?あたしは3組」
「俺は1組」
「じゃあ担任市川先生でしょ?いいなー」
「何で?」
「だって市川先生優しそうじゃん。うちの太田なんて体育会系なもんだから暑苦しくて」
「ああ、確かに、いろいろとアツい人だよな太田先生は」
どぎまぎしながらも、他愛のない世間話をしている内に俺が降りるバス停に到着した。
「じゃあ、俺ここで降りるから」
「あ!待って!」
「ん?」
「名前、教えて」
「俺の?」
「そう。あたしは真菜」
「俺は、秋。秋って書いて『あきら』って読む」
「あきらくん、あきらくんだね。うん、覚えた、ありがと」
なぜか嬉しそうな彼女に手を振られ、俺も手を小さく振りながらバスを降りた。


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未来から来た女の子《第八話 A》

「わぷっ!」
海に放り出された私は、沈まないように必死にもがいた。
「待ってルカ!私そんなに泳ぎ上手くない!」
ルカの方を見ると…
「何で浮いてるの!?」
「待ってください、今助けますね」
ルカの手が光ったと思うと、私は徐々に宙に浮いていく。そしてなぜか濡れたはずの髪の毛や服も乾いていく。
なにこれ、魔法?
「どうして急に海に出たの…?さっきまでマンションの前だったのに」
「沙織さんのマンションは、この時代では海になっているってことですよ」
「え?私の住んでるところ、海に沈んでるってこと?」
「説明すると長くなるので、とりあえず陸地に移動しましょう」
そう言うとルカと私は、海の上を浮いたまま動き出した。
私は何もしていないので、どうやらルカが動かしているらしい。
数十分で、私たちはようやく足がつける陸地にたどり着いた。

筆者 ハザマ



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【ここまでのストーリー】

《第一話》 (筆者 Saki)
「ごめんね…、うち今、厳しくて。」
3年勤めたファミレスは、そんな言葉であっさり解雇された。

小野沙織、28歳。
これからどうしよう。
私って何にもないんだよな…

都心から電車で30分。
大田区蒲田にある古いワンルームマンション。

私はここでずっと一人なんだろうか…
二階の部屋を見上げた。
あれ?明かりがついてる。 
急いで階段を上がった。

「あ、お邪魔してます!」
ドアを開けると小さな女の子がベットからぴょこんと立ち上がった。

「私、ルカといいます。遠い未来から来ました。」

《第二話 A》(筆者 Kuuugle)
「あなたは私なんです」
「え!?私?」急に何を言い出すんだろうと沙織は思った。
聞けば、ルカにとって私は前々々世の自分だそうで、どうも今の私がテキトーに生きてるから、来世になるごとに家庭環境が悪化しているらしい。
その状況を何とか変えたいと私のところにやって来たようだ。

《第三話A》(筆者 虹若丸)
「まずはこの散らかり放題の汚い部屋を何とかしなくちゃね・・・。」
ルカは半ば呆れたような声で言った・・・。
「勝手に人の家に上がり込んでおいて、何言うのよ!」
私はすかさず反論した。
「家庭環境の悪化を変えるには、まず身近なところから綺麗にして、運の流れを変えることが重要なのよ!」
ルカも負けてはいない!

《第四話A》(筆者 パチビードク)
「放っといてよ!私、きょう仕事クビになってイライラしてるのよ!そもそもどうやって私の部屋に入ったの?
第一、私の何を変えようということ!」いっきにまくしたて沙織は言った。
「少し落ち着いて下さい!そういう性格や部屋も片づけずテキトーにやっていることが、人生ダメにしてるんです。」
「どうゆうこと?」
「まず、部屋を片づけましょう。」
ルカは大きな箱を取り出して床に放り出されている物を、かたっぱしから箱へ入れた。

《第五話A》(筆者 だしき)
部屋の物がどんどん無くなって行く。ゴミだけではない、本、食器、棚、ついにはベッドまで。
「ドラえもんのポケットのような箱!さすがは未来から来た子だわ。」と半ば感心しながら見ていた沙織だったが、部屋の中が空っぽになると、
「何をやってんの!これじゃ暮らせないじゃない!」
「さあ、行きますよ。」
「どこへ?」
「引っ越しです。」
そういうとルカはさっさと部屋を出て行った。
「ちょっと待ちなさいよ!」

《第六話 A》(筆者 ウナギ)
待ってと止めても聞かないと言うようにルカの小さな背中は早足でどんどんと遠のいていくばかり。
これが本当に子供の歩くスピードなのだろうか。
「引っ越すんだったらマンションも解約しないといけなきゃだし、転居手続きだって…」
「引っ越しと言っても転居はしません。マンションの解約もしません。」ルカはすんなりと転居を否定する。
「えぇ!!!じゃあ一体どういうこと!?」「行くんですよ。」
「どこに?」「未来ですよ。」
「はあ?!?!?!?」
私、未来に行かされるの????

《第七話 A》(筆者 sauna)
「ちょっと待ちなさいルカ!未来ってどういう事なの!」
そう言うと沙織はルカの手を掴んだ。
ルカは顔色一つ変えずに「沙織、そのまま私の手を離さずに目を瞑って!」と自身も目を閉じる。
「ちょっと・・・」沙織は子供に呼び捨てにされ内心イラっとしながらも、手を掴んだまま静かに目を瞑った。
すると不思議な光に包まれ一瞬気を失いそうになる。
ルカの冷たい手の感触が沙織の掌に伝わる。ハッとした沙織はルカの手を離すと同時に一気に目を見開いた。
二人を包んでいた光が徐々に消えていき、徐々に視界が晴れて行く。
「えっ、ここは自宅マンション前の道路だったハズ・・・」
沙織が辺りを見渡すと眼前には広大な海が広がっていた。

《第八話 A》(筆者 ハザマ)
「わぷっ!」
海に放り出された私は、沈まないように必死にもがいた。
「待ってルカ!私そんなに泳ぎ上手くない!」
ルカの方を見ると…
「何で浮いてるの!?」
「待ってください、今助けますね」
ルカの手が光ったと思うと、私は徐々に宙に浮いていく。そしてなぜか濡れたはずの髪の毛や服も乾いていく。
なにこれ、魔法?
「どうして急に海に出たの…?さっきまでマンションの前だったのに」
「沙織さんのマンションは、この時代では海になっているってことですよ」
「え?私の住んでるところ、海に沈んでるってこと?」
「説明すると長くなるので、とりあえず陸地に移動しましょう」
そう言うとルカと私は、海の上を浮いたまま動き出した。
私は何もしていないので、どうやらルカが動かしているらしい。
数十分で、私たちはようやく足がつける陸地にたどり着いた。


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