【青春小説】春色の思い出とともに《第四話 B》
「進路、決まってる?」
ハンカチで髪をふく彼女に話しかける。独り言みたいな声量で。
彼女が、ピタリと手を止めた。
「アキは?」
「質問を質問で返すな!」
軽く肩をはたいた。いつものように二人で笑う。なんてことはなく、いつになく重い空気がながれている。
「アキ、は?」
もう一度、彼女が、真菜が聞く。
答えられない。
「まあ、私から言わなきゃだよね」
珍しく苦笑いを浮かべる真菜。
「アキ、読み終わった本は面白かった?」
急に何で本の話。
「あれ、書いてるの私。初めて会った時に読んでたのも」
それは、え?どういう。
「私、小説家なんだ。」
理解が追いつかなかった。
筆者 多菓子
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