【青春小説】春色の思い出とともに《第三話 B》

課外活動のグループで真菜と知り合ってから数ヶ月。特に切り取って挙げるほどの出来事はなかった。
人見知りでなかなか友達が増えない俺とは対照的に、真菜は天真爛漫な性格で、ありきたりな言葉だけどいつもクラスの中心にいるような人だった。それでもグループ活動が一緒で何度も話した事があるからか、休み時間とかにはよく話しかけに来てくれた。
当の俺はと言うと、この時はまだ真菜の方から来てくれるのを楽しみにしていただけだった。
変化が起きたのは、夏休みのある日だった。

筆者 とうまらた



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【ここまでのストーリー】

第一話》(筆者 矢田川いつき)
「アキー! 一緒に帰ろー!」
放課後のチャイムと同時に、猪の如く向かってくる影がひとつ。
しかし俺は、それを華麗なステップでかわす。
「甘い!」
「わー! 避けないでー!」
ドシーン、と音を立てそうな勢いで彼女が転びそうになる……が、受け止めるまでが俺の役目。
「大丈夫か、真菜?」
「ありがと……って、誰のせいだと!」
「ハハハ」
何気ない、いつもの日常。
ずっと続くと、思ってた。
「帰るか」
「うん!」
俺らはもう……高校3年生だ。

第二話 C》(筆者 suzu)
俺が真菜と初めて出会ったのは、高校に入学してから1週間くらいが経ったある日のこと。
各クラス全体を少人数で割り振り、レポート作成や校外探検などを行う、いわゆる課外活動。
「えー、それでは今から番号を振っていきます。自分と同じ番号の人とグループになってください!」
見るからに新人な男性教員が賑わう生徒達に声をかける。
俺はそれでも静寂にならない教室の様子に1つ息を吐き、窓際の席に座りながら風で宙を舞う桜の花びらを見つめていた。
「…重いな」
人見知りの部分がある俺にすると、正直レポートより気が重かった。友達からはそうは見えないと言われるけど、本当に苦手で。
グループワークなんて入学間もない時期はあるあるだと分かっていても、早く終わらないか考えてばかり。
数分後、俺は先生から5番という数字を言い渡され、仕方ないと言い聞かせて彼の合図でグループの人を探すことになった。
「あ、5番?」
「、ああ」
「よろしくな」
グループは全員で3人。まずは1人、隣のクラスの男子を見つける。
ーーすると、背後からツンツンと背中を突かれた。
「ねぇ、何番?」
「あ、俺は5番─…」
黒髪のセミロングに、パッチリとした瞳。一気に吸い込まれる。
「本当に?私も5番。一緒だ!」
それから放課後、図書室で一緒に資料を作ったり。発表の時には小さな声で打ち合わせをしたり。
端から見たら何ともない…どこにでもある景色だと思う。
「私は真菜。真菜で良いよ」
「…よろしく、真菜。俺は…アキ」
「アキ、よろしくね」
────でも、きっと俺は。
君がそう、俺に微笑んだあの瞬間から、始まっていたんだ。

《第三話 B》(筆者 とうまらた)
課外活動のグループで真菜と知り合ってから数ヶ月。特に切り取って挙げるほどの出来事はなかった。
人見知りでなかなか友達が増えない俺とは対照的に、真菜は天真爛漫な性格で、ありきたりな言葉だけどいつもクラスの中心にいるような人だった。それでもグループ活動が一緒で何度も話した事があるからか、休み時間とかにはよく話しかけに来てくれた。
当の俺はと言うと、この時はまだ真菜の方から来てくれるのを楽しみにしていただけだった。
変化が起きたのは、夏休みのある日だった。


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